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最高裁判所第二小法廷 昭和37年(オ)1157号 判決 1964年4月17日

上告人

千歳信子

右訴訟代理人弁護士

高田糺

被上告人

京阪電気鉄道株式会社

右代表者代表取締役

村岡四郎

被上告人

奈良電気鉄道株式会社

右代表者代表取締役

福井国男

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人高田糺の上告理由第一点および第二点について。(省略)

同第三点および第四点について。

被上告人は、訴外京阪神急行電鉄株式会社に対する債権者として、右会社が訴外坂本健一に対する債権者として有する坂本の上告人に対する登記抹消請求権を代位行使する権利を代位行使する趣旨で本件反訴請求をなすものであることは記録により明らかであり、原判決認定の事実関係の下において、被上告人の右代位権行使は適法である(大審院昭和五年(オ)第二四三号昭和五年七月一四日判決民集九巻七三〇頁参照)。なお、右事実によれば、被上告人は無条件で上告人に対し本件抹消登記手続請求をなしうるのであるが、被上告人はその請求の趣旨において金二〇万円と引換えに右請求をするものである以上、これをそのまま肯定した原判決は適法であつて、原判決に所論の理由不備等の違法はない。

論旨はすべて採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官奥野健一 裁判官山田作之助 城戸芳彦 石田和外)

上告代理人高田糺の上告理由

(第一点、第二点省略)

第三点 原審判決認定の如く本件土地が売買契約物件中に含まれず契約不成立ならば上告人が支払うた代金二百十五万円は十七番地宅地二百十八坪七合五勺と其地上建物の代金となり本件土地に対する代金は支払うていないことになる。然るに原審判決は二十万円を受領すると同時に所有権移転登記抹消手続せよとの一審判決を是認したるは矛盾で理由不備である。

第四点 被上告人と本件土地売主坂本健一間には債権債務の関係なきことは本件記録に表われたる事実関係より洵に明らかで従つて民法第四二三条による代位権なきこと之亦明白と謂わざるを得ない。

然るに原審判決は被上告人に代位権を認め以て反訴を是認したるは違法である。又売買物件は甲三号証調停調書により明白なるが如く土地二筆建物一筆で其代金二百五十万円を二百十五万円に減額支払為したるもので建物の価格を被上告人主張の如く三十万円と看做すならば土地代金として支払れたる代金は百八十五万円となり一坪に対する代金割合七千百十五円となるを以て本件土地四十一坪二合七勺に対する代金相当額は二十九万千七百十五円となる。然るに原審は根拠なき被上告人の主張を漫然容認し金二十万円受領と同時に登記抹消を認めたるは明らかな誤算で違法の判決で当然破棄されるべきものである。

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